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2006年9月19日 (火)

芋次郎とイナゴ (短編小説風)

いつものように寝不足の朝を迎えた芋次郎は、
この日もあまり気分が優れませんでしたが、
仕事に間に合わなくなるので急いで自動車に乗り込みました。

エンジンを掛け、CDをセットし、サイドブレーキを外したその時、
助手席側のフロントガラスの外側に
イナゴがへばり付いているのが目に入りました。
芋次郎は一瞬「お!」と思い、少しだけ楽しくなりました。
「君も我が輩の職場まで行きたいのかい?
降りるなら今のうちだぜ。さぁどうする?出発するよ?」

しかしイナゴは動き出す自動車に少し動揺したものの、
芋次郎との同行を辞退する気配はありませんでした。
こうして芋次郎とイナゴの愉快な旅が始まりました。

ところが出発してまもなく、
すっかりいつも通りの行動パターンを踏襲しただけの通勤に
芋次郎はすぐに飽きが来てしまい、
イナゴのことなどすっかり忘れてしまっていました。

15km近く走ったところで、
信号待ちの時に再びイナゴが目に留まり、
イナゴとドライブをしていたことを思い出しました。
「よくここまで振り落とされずに乗って来られたな。
君は本当の“イナゴライダー”かい?
(ここが国道175号だったら尚良かったね)。」
イナゴのことを思い出した芋次郎はすっかり愉快になって、
信号待ちのついでに思わず記念写真を撮ってあげました。
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「どうだ。時速65kmは今まで経験したことのない速さだろ。
触角が風でなびいてるぜ。ちょっと刺激が強すぎるだろ?
しっかり掴まってないと振り落とされるぜ。」
そう心の中で語り掛けたりしては、
いつものような一人ではない通勤に心躍る芋次郎でしたが、
一つだけ不安がありました。
「途中で飛び降りてしまうかもしれない。
ちゃんと最後まで乗っていてくれるのだろうか。」
数ヶ月前に、やはり雨蛙が運転席側のフロントガラスで
同じく通勤同伴を試みていたことがありましたが、
途中で車道に飛び降りていってしまった経験があり、
それの二の舞にならないか心配だったのです。

そんな心配を感じながらも、
「そろそろそうやって踏ん張ってるのも疲れてきたろう。
50kmの旅だからまだまだ先は長いぜ。頑張って踏ん張れよ。」
などと、イナゴとの旅を楽しんでおりました。
「ちょっと異国の地まで連れていくことになるけど、
帰りも乗ってたらまた水戸まで連れ返してあげるからね。」

そうして、まもなく20km通過地点に差し掛かろうという時でした。
何と突然イナゴが芋次郎との旅に終止符を自ら打ったのです。
歩道側に飛び降りたこと以外はあの時の雨蛙と同じでした。
イナゴが居なくなってしまった
助手席のフロントガラスを見詰めながら、
芋次郎は寂しそうに職場へ向かいました。
見た目はいつもと変わらないフロントガラスでしたが、
今日は楽しい思い出の跡が残されていました。
また誰か、職場に同行する友が見付かるまで、
芋次郎は明日からまた一人で走ることでしょう。
 (おしまい)

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コメント

私もお供を連れて行ってしまうことがあるんです。
チャリですけど…
「知らない地に連れて行ってしまって、あとでマイゴにならないかなあ。親や友達と離れて一人ぼっち・・・どうするんだろう」
と、心配するわけです。
何しろ自分が方向音痴ですので、蝶々さんやバッタさんも方向音痴と決め付けちゃうわけです。

車で20キロも離れた地におりたイナゴくん、もしかすると、男爵くんの帰り道にそこから乗ってきたのかも知れませんよ。
「あ、ここ、知ってる! 僕の家がある!」
と急いで降りたのかも・・・

今度はどんなお供が乗ってくれるでしょうね。

投稿: 大笑 | 2006年9月20日 (水) 07時35分

今日からHN「芋次郎」かと思ったよ。

投稿: じょんじょん | 2006年9月20日 (水) 21時16分

芋次郎?芋太郎じゃないの?

投稿: nami | 2006年9月20日 (水) 23時23分

>大笑さん
イナゴは本気を出せば、群れで大移動するくらいの力がある訳ですから、きっと帰ってくることくらい朝飯前なのでしょう。因みに、私は車の中で朝飯を食べているので、あの時は朝飯中でした。
一人旅は寂しいので、またお供が現れることを願っています。

>じょんじょんさん
主人公はあくまで「芋次郎」なので、私とは別人だと思います(どう見ても同一人物です)。小説風にするのに、どうしてもそのままの名前では違和感ありありだったので。

>namiさん
本当は昨日はPCをつけないで寝ようと思ったんですが、急遽思い付いてしまったので書き始めたは良かったんですが、あまりの眠さに思考能力が低下し、推敲すらろくに出来ずに寝てしまいました。「芋彦」っていう案もあったのですが、「芋太郎」はなかったですね。眠くてあまり細かいことを考える余裕がなかったので、響きから「芋次郎」にしようとすぐに決定しました(深い意味はありません)。

投稿: メークイン男爵 | 2006年9月21日 (木) 00時47分

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