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2008年1月29日 (火)

ロンドン旅情記・8

▼ロンドン出国~帰国:12月31日(月)

ロビーで待っている間、喉の渇きを覚えていたのですが、
機内に水分を持ち込めないので、
下手に買ってしまうと飲み切るのが大変なので、
我慢していました。
そうこうしているうちに、
いよいよ搭乗開始時刻になりました。
ここに来てはもう名残を惜しむことも出来ないので、
構わず乗り込みました。

搭乗券を読み取り機に通した時もそうでしたが、
ちょっとぼうっとしていたので、
思わず「ファーストクラス・ビジネスクラス」側という
案内矢印が出ている方へ行きそうになりました。
「どうも体が勝手にリッチな方へ行きたがってるらしいな」
とジョーク混じりに自分を窘(たしな)めました。
所詮、庶民の私には縁のない所だというのに全く…。

航空券を確認すると、座席番号が結構若かったので、
どちらかというと前の方なんだろうなと思いました。
この番号自体にはそれ程違和感は
覚えなかったのですが、
その後、席を見付けて座ろうとした時、
「何か変だ」と思いました。

座席の前後の間隔が異様に広いことに気付きました。
しかもよく見ると、座席の造りなどもちょっと豪華で、
何だか見慣れない感じがしました。
しかし、後から乗客がどんどん乗り込んでくることもあり、
一連の動作の流れの中で、
取り敢えず座ろうかと思ったのですが、
その時、頭の中で情報が素早く整理され、
「ランク的にどうもおかしい」とピンと来ました。

予期せぬ出来事に、軽く頭が混乱し始めていました。
「もしかして、クラス毎に番号が振られていて、
ここはエコノミークラスではなくもっと上のクラスで、
番号は同じだけれどもっと私たちの席は
後ろの方なのか?」と思いました。
そう考えてみれば、エコノミークラスにしては
ちょっと豪華すぎるので、
クラスが違うと考えた方が納得がいきました。
それに気付かずに他人の席に座っては恥ずかしいので、
まずフライトアテンダントに確認することにしました。

「ここじゃない」と言われるのかと思っていたら、
「はい、ここで合っています。こちらのお座席は、
クラスを上げる措置を採らせて頂いております」
という返事だったので、
「そうだよなぁ、飛行機は確か全部通し番号だもんなぁ。
やっぱりここで良いんだなぁ。でも本当に良いのかなぁ。
『ここ、私たちの席です』なんて言う人が
現れたりしないかなぁ、大丈夫かなぁ。」
とまだ半信半疑でした。
でも、合っていると言うのですから、
間違いはないのでしょう。
どこか腑に落ちないような気持ちで着席しました。

ふと窓の外を見遣ると主翼が見えました。
それを見てようやく「ははぁ、なるほど」と思いました。
先程のフライトアテンダントの妙な発言の
意味していることが何なのか理解しました。
つまり、ここは翼の付け根の丁度真横に当たる場所で、
ほとんど外が見えないというハンディがあるために、
その代わりにお詫びの意味もあって、
エコノミークラスと同じ金額で、
ビジネスクラスと同等の待遇を提供する
ということなんだろうと理解しました。

航空券を発券した時から、何となく分かったような
分からないような感じでもやもやしていたのですが、
この時、やっと全てのパーツが繋がりました。
そうと知って、逆に畏れ多い気持ちになりました。
そりゃ確かにここじゃ外は見えないですが、
どのみち真ん中の座席でしたし、
飛行中はほとんど夜で外は真っ暗ですし、
下界が見えるのも離着陸時くらいのものなので、
見えても見えなくてもあまり関係ありませんでした。
それにも拘わらずこの厚遇ですから、
逆に申し訳ないような気持ちになりました。

庶民が急に金持ちになると、
身分に頭がついて行かなくなって、
人間的に壊れるということがよく分かりました。
急に脳が興奮状態になり、
今まで知る由もなかったリッチな世界に
はしゃいでしまっていました。
エコノミークラスに乗れなくなるんじゃないか
というくらい贅沢な気持ちに浸っていました。


飛行機はロンドンを30日の19時過ぎに出発しました。
窓の外の景色は全然見えませんでしたが、
離陸し始めた時、いよいよ本当にこれで
ロンドンともお別れだと思いました。
そして、そっと心の中でロンドンに
お礼と別れを告げました。


さて、シートベルトの着用サインが消えてから、
自由に身動きが取れるようになったので、
早速どんな仕組みになっているのか調べました。
リクライニングは可動部位が多いので、
自分の好みにあった変形が可能で、
ベッドのようにほぼ水平にまで動かすことも出来ました。
スリッパ付きで作りも結構しっかりしていましたし、
テーブルも肘掛けの下に収納されていて、
前の座席に取り付けられているタイプではないので、
バタンと倒して前の方に迷惑を掛けてしまうことがなく、
また、リクライニングは座席から独立していて、
リクライニングを変形しても座席は固定されたままなので、
後ろの方に遠慮することなく、思い切って動かせました。

そして、何と言っても前後左右がゆったりしているので、
真ん中の人でもトイレなどに立ち易いというように、
快適な空の旅が保障されていました。
特急列車より遙かに窮屈なエコノミークラスしか
乗ったことのなかった私には何もかも別世界でした。
旅行中は数々の幸運に恵まれていましたが、
最後の最後までラッキーなことが起こりました。
まさに「残り物には福がある」でした。

しかし、所詮はエコノミークラス料金です。
座席環境はビジネスクラスに格上げしてくれても、
他はエコノミークラスと同等なのだろうと思っていました。
ところが、それだけではなかったのです。
サービスまでビジネスクラスと同じでした。
エコノミークラスだった行きの時の機内食は、
コンビニ弁当のようにレンジで温めるだけで
食べられるような物で(メニューはもっと豪華ですが)、
容器等も基本的に使い捨て出来るような
プラスティック製や紙製の物でした。

けれども、ビジネスクラスに限りなく近かった帰りは、
ナイフやフォークなど凶器になり得る物以外の食器は、
グラスや皿、器などは全てレストランと変わりなく、
メニューも、行きは簡単な内容が書かれたカードから
二者択一で選ぶというものでしたが、
帰りはしっかりとしたメニュー表が配られ、
洋食か和食を二者択一で選ぶのは同じですが、
その細かいメニューの一覧表が記載されており、
軽食やスナックメニュー、到着前の食事のメニューなど、
きちんと事細かに確認出来るようになっていました。
因みに、私は和食は日本に着いてからの
楽しみにするため、敢えて洋食を選びました。

高級レストランさながらの豪華な食事を前に、
あまり酒を飲まない私も、
思わずシャンパンを頼まずには居られませんでした。
あまりに幸せすぎて胸が一杯になり、
死んでしまいそうでした。
急に庶民がリッチな生活を味わってしまったせいで、
感情のコントロールがおかしくなったのかもしれません。
「おれぁ幸せだ~」と何度口走っていたか知れません。
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窓側から2席、真ん中が3席で、反対の窓側が3席、
それが3列あるということで、
ビジネスクラスとエコノミークラスに挟まれた、
この9組だけが変則的特別待遇だったようです。
たったこれだけの客しか居ない限られた範囲を、
飛行中はほぼ同じフライトアテンダントお二方が
両通路を頻繁に行き来していたので、
サービスが密に行き届くので、
尚更贅沢な気持ちになりました。

こんな優雅な時間を11時間半も過ごせるとは、
本当に有り難いと思いました。
後は如何にこの時間を有意義に過ごすかでしたが、
考えてみると、この日は2時間しか寝ていなかったので、
折角ベッドにもなるリクライニングなので、
心ゆくまで寝てしまいたい気持ちもありました。
その一方で、「折角こんな贅沢をさせて貰っているのに、
寝て過ごしてしまったら勿体なくないか?」
という自問自答もありました。

それと搭乗前までは、「シャンハイ」(ゲーム)の
リベンジを果たすつもりだったのですが、
いくら機内でしか出来なそうとは言っても、
これだけの環境に居てゲームばかりしているのは
ちょっと勿体ないかなと思って、
これも過ごし方としては如何なものかなと思いました。

結局は、ロンドン最終日のことを中心に、
色々思ったことを忘れないうちに書き残しておこうと、
手記にまとめているうちに8時間も費やしてしまい、
周りは眠りに就いているというのに、
自分だけ寝ずに書き続けていました。
頭が興奮覚め遣らぬ状態だったので、
やっと書き終えて眠ろうとしても全然眠れず、
ベッドも微妙に水平でないので、
寝ているうちに足に血が溜まってきて痺れ、
それでも何とか2時間くらいはうとうとしたのですが、
そのうち室内灯が点いて、
食事の時間になってしまいました。


もう眠れないことを悟った私は開き直って、
残りの2時間くらいは最後まで「シャンハイ」を
しながら過ごすことにしました。
ほとんど寝ていないために頭が全く働かず、
結果は惨憺たるものでした。
リベンジするどころか悉く返り討ちに遭いました。
寝なすぎて体が変になっていたので、
食欲もあまりなくなっていました。
でも最後まで美味しい機内食でした。
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やがて、遂にこの「俄か成金生活」にも
終わりの時が刻々と近付いてきました。
飛行機が着陸態勢に入ったのです。
この時ばかりは「もうちょっと飛んでいても良いよ」
と思ったくらいでしたが、
それは兎も角、無事に着陸出来るよう祈っていました。

成田に着陸したのは31日15時半前でした。
時差9時間のせいで、実質飛行時間11時間半と合わせ、
ロンドンを発ってから20時間半が経過していました。
やはり日本もロンドン程ではないですが寒かったです。
動く歩道で思わず右側に立ってしまい、
関東ルールが一瞬分からなくなりました。
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携帯電話を久し振りに使いました。
インターネットからもすっかり離れていたので、
日本のニュースは機内で読んだこの日の
新聞からの情報しか分かりませんでした。
でも、こういう機会は大事だなぁと思いました。

入国審査や手荷物検査を受ける時、
相手も日本語で話し掛けてくるので、
一言二言、余計なことも付け加えたり出来ましたが、
こういう他愛もないことが言えるコミュニケーションが
取れるって素晴らしいことだなぁとしみじみ思いました。
今度はいつ外国に行く機会が出来るか分かりませんが、
その時にはある程度の英会話が出来るように
なって居たいなぁと思いました。


6GB分も持って行ったカメラのメモリーカードは、
残り25枚しか撮れないくらい撮ってきてしまいました。
もし、成田空港でゆっくりする時間があれば、
全部撮り切っていた勢いでした。
最もロンドンより1時間は日が長いとは言え、
結構夕方になってきていましたし、
睡眠不足から来る眠気が凄まじかったですが。

街の景色は、信号機もコンビニも看板も車も、
当たり前ですが、もう日本の景色でした。
けれども、私の脳裏には確かに、
ロンドンで過ごした1週間の光景が
焼き付いていたのでした。
ホッとした気持ちよりも、
虚無感の方が大きかったです。
それだけ楽しい思い出を作れたのだと思います。
本当に貴重な経験を沢山させて貰いました。
全てのことに対して感謝の気持ちで一杯でした。


こうして、大晦日まで活動的に過ごした2007年が
終わったのでした。

【完】

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コメント

しばらく間を空けてしまったり、読むのが疲れる程の超長文になってしまいすみませんでした。

これにてやっと完結です。
但し、途中から推敲が完全ではないので、これから読み返して、最終確認をしていかなければなりませんが(書いた自分でさえ長すぎて読むのが大変です)。

投稿: メークイン男爵 | 2008年1月29日 (火) 20時31分

お疲れ様でした。
本当に感激が再び思い起こされるブログです。
何から何までありがとうございました。
飛行機のグレードアップは、頑張った男爵くんへのプレゼントなのだと思いました。

投稿: 笑 | 2008年1月29日 (火) 21時00分

話が脱線したり、余計なことまで書いたりして読み辛くなってしまったかもしれませんが、超大作を書き終えてようやくホッとしています。でも、書きたかったことを漏らさず書けたかどうかはちょっと自信ないです。

今回は本当にラッキーなことだらけでした。生きていると良いことがありますね。

ひとまず、これで普段通りのブログに戻ることが出来ます。すっきりです。

投稿: メークイン男爵 | 2008年1月29日 (火) 22時41分

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